不妊の検査は問診から始まる

問診から始まる不妊の治療

不妊の検査には色々ありますが、どのクリニックでも最初に行うのが問診です。医療機関で初診時に必ず貰う問診票、予診票は女性と男性で訊かれる項目が違います。具体的な内容はクリニックによって異なりますが、住所・氏名・生年月日・身長・体重などの基本的な項目の他「アレルギーの有無」や「基礎体温は測定しているかどうか」、「病気の既往歴」、「今回の受診は家族やパートナーに内緒かどうか」、「妊娠歴」などの質問に対し記入していくことになります。

立つ看護師さん

また、タイミング法、人工授精、顕微鏡授精など希望する治療法についてもヒアリングされることがありますから、ある程度どんな不妊治療の方法があるのか調べておいた方が自分の考えを伝えやすいと思います。

私の場合タイミング法について教えて貰いたかったので、タイミング法を希望していること、薬や注射はできれば使いたくないことを問診票に書き込みました。恐らくどの夫婦も旦那さんは不妊治療に関しての知識は全くないと言っても過言ではありません。

できれば一緒に受診したり、前もって奥さんからも不妊治療についてどんな方法があってどれぐらい費用がかかるのか説明した上で、旦那さんの意向も確かめておいた方が良いでしょう。

 

生理3日目に内診

不妊の検査ではドクターが直接膣を触診する内診も行われます。初診時は必ず問診と共に内診も行われますから、診察しやすいよう脱ぎやすい靴やスカートを着用しましょう。

親切なクリニックだとブランケットなどを用意してくれますが、パンツだと内診の時に下半身を丸出しにしなければなりません。脱衣着衣にも時間がかかりますし、ロングスカートがあると通院の時に大変便利です。また、内診後は下着が汚れる可能性があるので、おりものシートや生理用ナプキンを持参しましょう。

一般的な婦人病の婦人科検査では生理中の内診検査は行われませんが、不妊治療クリニックでは生理3日目に内診検査を行うよう指示されることがあるようです。生理3日目に内診検査を行うことで、卵巣の腫れの有無や卵胞の状態が確認できるようです。

生理中の内診なんて物凄く抵抗を感じるかも知れませんが、どのクリニックでも行っていることなので恥ずかしがることはありません。

不妊治療は女性にも男性にも辛いものが少なくありませんが、生理真っ最中での内診も相当な苦痛を伴います。私も検査が辛い時、「妊娠率が高い20代前半で産んでおけば良かった…」と心の底から思ったものです。まだ旦那さんと出会ってませんでしたが(笑)。

 

血液検査が行われるのは

私の場合、最初にクリニックに通ってタイミング法を指導して貰った時は血液検査も行いました。子宮筋腫があったので貧血かどうかを調べる目的もあったようですが、一般的には「基礎体温の測定」、「頚管粘液検査」、「フーナーテスト」、「経膣超音波検査」など不妊治療の6大基本検査が行われます。

クリニックの方針によって検査の項目や治療方法、方針はかなり違うので、一概には言えませんけど、6大基本検査で異常がないようなら血液検査は行われない確率が高いようです。

逆に言うと不妊クリニックで血液検査が行われる場合、基礎体温測定の結果、排卵障害が起きている可能性が考えられる時です。

タイミング法では脳下垂体から分泌され、排卵を起こすLH(黄体ホルモン)の反応を排卵検査薬で調べてタイミングを狙っていくことになりますが、LHの分泌量が多過ぎても少な過ぎても排卵検査薬で正確に測定できません。

その場合自力タイミング法は難しいのでクリニックでタイミング法を指導して貰うか、別の不妊治療法を検討しなければなりません。

 

経膣超音波検査は排卵期のタイミングで

排卵検査薬でタイミング法、と言うのは深刻な問題がない夫婦にしかできない、自然な形での妊娠方法です。私の場合年齢も35歳からの妊娠計画スタートでしたし、子宮筋腫もあったので2年以内にタイミング法で妊娠できたのは本当にラッキーでした。

不妊検査が難しいのは、一般的な健康診断のように自分の都合が良い日に一度にできないこと。内診も生理3日目に行うよう指示されることも多く、どの検査も月経周期に合わせなければならないので検査のタイミングも見図らなければなりません。

経膣超音波検査の場合はフーナーテスト、尿中ホルモン検査、頸管粘液検査同様排卵期に行います。つまり、妊娠する為には基礎体温の測定が欠かせませんが、検査の為にも自分の基礎体温周期を把握していなければならないと言うことです。

スムーズに検査ができるよう、クリニックに行く前から基礎体温と排卵検査薬を使ってある程度データを積み重ねておくことをオススメします。

私も最初は基礎体温測定が面倒で仕方ありませんでしたが、慣れれば基礎体温を測る為に強制的に規則正しい生活を送らざるを得ません。結果的に健康的な朝型生活にシフトチェンジできたのも、妊娠成功に繋がったのかも知れません。

 

頸管粘液検査は排卵期のタイミングで

排卵検査薬でタイミング法に励む前に、高齢出産年齢を迎えている場合不妊原因を抱えていないかどうか事前に調べて貰った方が近道かも知れません。

頚管粘液検査も不妊原因を見つける為に欠かせない6大基本検査です。不妊治療の為の検査は生理周期に合わせなければならないのが厄介ですが、頚管粘液検査は排卵期に行う検査です。排卵期に突入後、おりものを採取し頚管粘液の状態を調べます。

健康な女性の子宮頚管は、排卵日が近づくと水のような透明な粘液、頚管粘液で満たされる性質があります。質の良い頚管粘液で子宮と膣を結ぶ子宮頚管内部が満たされている場合、精子もスムーズに子宮腔内に辿り着くことができるので妊娠しやすくなります。

ただし頚管粘液の量が少な過ぎる場合、粘り気が強過ぎて濃い場合、膣内で男性が射精したとしても精子は子宮腔内まで侵入しにくくなり、不妊の原因となります。

ちなみに粘り気が強過ぎて濃い状態を、粘稠性(ねんちゅうせい)が高いと表現します。不妊治療に関する言葉、表現は結構見慣れないものが多いので、私も当時受験勉強のように辞書を引きながら頑張ったものです。

 

フーナーテストは排卵日のタイミングで

排卵検査薬を使ったタイミング法で自然に妊娠したくても、医療機関のフーナーテストで異常が見つかればまずは問題を解決しなければなりません。

フーナーテストも不妊治療の6大基本検査の1項目です。フーナーテストは排卵期を迎えたタイミングで行わなければなりませんが、クリニックに行く前に性交しなければならないと言うハードルの高い検査です。

通院前にセックス…と言うのも「これが不妊治療の洗礼か…」と思わずのけぞってしまいましたが、旦那さんも大変だったと思います。検査も含めタイミング法で頑張っていた時は、「子供が生まれたら二度と私を抱く気にはなれないのでは??」と心配した程、不妊治療中は時に義務的に身体を合さなければならないことが多々ありました。割り切る気持ちも大切です。

フーナーテストで分かること

担当ドクターからも指示されますが、排卵日を狙って夫婦生活を行い、クリニックでフーナーテストを行って精子が頚管粘液中に侵入できているかどうか調べます。

フーナーテストの判定基準では運動性に問題がない精子が15個以上頸管粘液で発見されれば、妊娠率はかなり高いことの証明になり「優」判定が出ます。10個から14個未満なら「良」判定で、5~9個の「可」と共に、妊娠は充分に期待できるレベルだと判断されます。

残念ながら4個以下しか精子が見つからなければ、判定は「不可」となり妊娠率は有意に低いことが分かります。

 

子宮卵管造影検査は低温期に

子宮卵管造影検査は低温期に行う検査で、検査のタイミングを狙う為にも検査段階から基礎体温の測定は欠かせません。低温期…つまり生理が始まる直前にX線検査を行うことで、子宮腔や卵管の形状を確かめ、卵管の通過性、卵管采周囲癒着の程度が分かります。

検査では造影剤を子宮頚管の入り口から注入しますが、脂溶性造影剤を使うとこの検査後33%の患者さんが妊娠に至るそうです。脂溶性ではなく水溶性造影剤なら、妊娠する割合は17%と半分近く低下することが分かっています。

いずれにしても子宮卵管造影検査は単なる検査だけには留まらず、妊孕性(にんようせい)促進効果も期待できます。なぜ子宮卵管造影検査で妊孕性が促進されるのかは諸説ありますが、造影剤の注入によって「卵管線毛の運動が刺激された効果」、「軽い癒着障害の改善効果」、「造影剤中のヨードの殺菌効果」などの作用効果が考えられます。

ちなみに妊孕性とは妊娠しやすさを表す言葉で、残念ながら30代以降妊孕性は一気に低下します…。